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『聖職の碑』が大好きな妹ちゃんによる企画
彼女が桂小場からのルートを歩くのはこれが2回目らしい
前夜発の高速バスで早朝の伊那市駅へ
バスから降りると予約しておいたタクシーがわたしたちの到着を待っていた
タクシーに揺られながら仄暗い伊那の町を駆け抜けて30分程で桂小場に到着
駐車場には十数台の車が停まっています
朝ごはんを食べたら出発
九十九折の樹林帯を登ってゆきます
ちなみに西駒とは木曽駒ケ岳のことを指します
では東駒ケ岳があるのかというとそれは甲斐駒ケ岳のことです
ふたつの駒ケ岳に挟まれた伊那谷周辺では西駒と東駒と呼ぶそうです
白川林道への分岐を見送って少しゆくとこんな道標が・・・
母方の実家の裏手を流れる奈良井川で子どもの頃よく遊んだもんです
大樽避難小屋を過ぎたあたりから胸突八丁の急坂となる
胸突ノ頭を越えると青空が広がります
夏道は伊那谷側をトラバースしてゆく道
生い茂った夏草でわかりにくいですが谷側は意外と切り立っているので注意が必要
冬は稜線を歩くようですが眺めを期待してか夏でも歩いている人はいました
以前は将棊頭山とをつなぐ稜線ルートしかなく遭難事件のあとトラバースの道ができたそう
この稜線はものすごく風が強いそうで将棊頭山付近でも犠牲者が出ました
そのことがトラバースの道ができたことと少なからず関係しているようです
西駒山荘に到着
まだ10時でしたが小屋番さんが笑顔で応対してくれました
ひとりで小屋の仕事を切り盛りしているとても気さくな方です
今年は西駒山荘築100年、宿泊すると記念のポストカードがもらえます
100年前に建てられた石室の小屋は自炊部屋として今でも使われています
増設された食堂や寝室のある木造小屋は昨年改築されたばかりでとてもきれい
自炊だと1泊6,000円だそうですがシュラフを持ち込んだので5,800円でした
でも小屋の屋根で干されていた布団は太陽の光でふかふかして気持ちよさそう
たった200円しか違わないなら布団で寝たかったなあ・・・
途中の大樽避難小屋もそうでしたがトイレは初体験の便袋式
お金はかかりそうですが掃除要らずで清潔なのがすごくよいと思いました
時間があり余っているので将棊ノ頭までお散歩
命名クジラ岩!
燕岳のイルカ岩に匹敵する有名岩になること間違いなし!
夕ごはんはオリーブオイルたっぷりのアヒージョ
締めは根菜とウインナとコンソメを足してポトフにしました
17時から食堂にて映画版『聖職の碑』の上映会
どこかで見たことあると思ったら教師役で若かりし地井武男が出演していました
高倉健主演で映画化された『八甲田山』(原作:新田次郎著『八甲田山死の彷徨』)が大当たり
その翌年に『聖職の碑』も映画化されましたがこちらはまったく当たらなかったとか・・・
理由はよくわかりませんが少年たちの死にゆく姿が残酷だったからでしょうか
小屋の夕食により上映会は中断となる
なので夕焼けがきれいと教えてもらった将棊頭山まで足を伸ばすことに
小屋のすぐ裏にピークが見えているのですが直登はできない
木曽駒ケ岳方面の登山道を少し進んだハイマツ帯のなかに道があります
太陽が沈むと夜がゆっくりやってきます
星の数が少しずつ増えてゆく
20時半就寝
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翌朝は4時起床
のんびり朝ごはんを食べていたらすっかり明るくなっていた
6時頃ようやく出発
めざす木曽駒ケ岳や北アルプスなんかがよく見えます
まだ5人の方が眠る御嶽山
煙が弱々しく風にたなびいていました
遭難記念碑にて合掌
このあたりで3人の少年が亡くなったそうですがこの天気からは想像もできません
木曽駒ケ岳が大きくなり将棊頭山や行者岩のピークが遠ざかってゆく
馬ノ背の緩やかな尾根を登りきって木曽駒ケ岳の山頂へ
それまでとは比べ物にならない大勢の登山者で溢れかえっています
ロープウェイを利用して千畳敷から歩いてきた人たちでしょうか、家族連れなどで賑わっています
『聖職の碑』に思いを馳せていた感傷がふき飛びました
その昔わたしたちも両親に連れられてやって来ました
そういえば父親が『聖職の碑』についてあれこれ話していたような・・・
四半世紀を過ぎた今でもやっていることはたいして変わっていないことに気づきます
山頂から乗越浄土まで渋滞の登山道をゆく
宝剣岳をピストンする予定でしたがこちらも渋滞中
あっさり諦めて伊那前岳に続く眺めのよい尾根道をゆきます
伊那前岳の山頂に到着
ここまで来ればさっきまでの喧騒が嘘のよう
左手に西駒山荘を眺めながらの稜線歩き
七合目が近くなってくると道は樹林帯のなかへ
青空と稜線の眺めを惜しみつつも高度を下げてゆきます
数パーティの登山者とすれ違いました
歩いている人は少ないですが道はすごくしっかりしています
清水平のこんこんと湧き出る水場でひと休みしてから最後の林道歩き
そう言えば今回通った水場はどこも渇水することなく湧き出ていてとても助かりました
林道の途中に突然簡易トイレが4つ並んでいてびっくりする
最近設置されたばかりなのかすごくきれいでしたけど
12時58分に北御所登山口に到着
さてバスの時間は何時かな・・・毎時28分と58分・・・あ、バス来た・・・
てなわけで1分も待たずにバスがやってきて補助席に座ることができました
とは言っても山岳地帯のバスで30分に1本あるってすごいことだと思いますけどね
便が少ないところなんて1日2~3本とかそんなもんですから
バスが停まるこまくさの湯に立ち寄る
ついでに食事処でチャーハン&バンバンジー定食をいただく
まったくご当地を感じられないメニューですがチャーハンが好きなんです!
菅ノ台バスセンターまで歩いてゆき駒ケ根駅行のバスに乗る
岡谷駅で連絡時間4分の乗り換えに急かされながらあずさにすべり込む
なんとか座れた自由席で『聖職の碑』を読み返す
頁が進むにつれ旅の終わりが近づく
嵐とは無縁の空に夕刻の色
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何度か歩いている中央アルプスですが、はじめてロープウェイを利用しないで登りました。桂小場から1日で木曽駒ケ岳まで登って駒ケ岳頂上山荘泊(テント泊可)ということもできると思いますが、今回は西駒山荘に泊まることが目的のひとつでもあったのでそうしませんでした。おかげでのんびりと山の時間を楽しむことができました。いつも行き急いで登っているわたしに、妹ちゃんは山でのんびりすることを教えてくれます。山の楽しみ方はいろいろあるんだと気づかせてくれます。前から歩いてみたかった伊那前岳の稜線がとてもすてきだったことも収穫です。南北アルプスはもちろん、これまで歩いてきた稜線や宝剣岳、はるか空木岳まで見わたせるすばらしい尾根道でした。
参考タイム
1日目:桂小場(2:00)大樽避難小屋(1:20)胸突ノ頭(0:30)西駒山荘
2日目:西駒山荘(2:00)木曽駒ケ岳(0:40)乗越浄土(0:30)伊那前岳(3:00)北御所登山口
同行者 妹ちゃん
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