苗場とゆうどこか甘ったるい響き
それを払拭してくれるに足りる山旅でした
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夜行バスに揺られて早朝の長野駅に降り立つ
昨年は工事中だった善光寺口が新しくきれいになっていました
しなの鉄道北しなの線越後川口行に乗車
てゆうか越後川口ってどこやねん
ローカル線に揺られること2時間弱、路線はいつの間にか飯山線に変わっていました
昭和20年に7.85Mの日本最高積雪を記録したらしい森宮野原駅に到着
バスを待つこと1時間・・・南越後観光バスに乗って津南方面へ
津南役場前バス停でいったん下車して大通りの反対車線に移ります
そこにやって来た和山温泉行のバスに乗る・・・公共交通機関を駆使しています!
1時間ほどで苗場山の登山口である小赤沢バス停に到着しました
このあたりの拠点となっている津南とゆうバス停
なぜか津南駅から2kmも離れた辺鄙な場所にあります
津南駅より津南バス停のほうがバスの便がよく完全に幅を利かせています
ザックを背負って道もよくわからない市街地(とゆうほど都会ではない)を2kmも歩くなんて・・・
下調べの段階で行き詰まっていたら南越後観光バスの方が親切にいろいろ教えてくれました
その後も何度が電話で問い合わせたのですがみなさん親切でほんとに助かりました!
小赤沢バス停に到着したのが9時半頃
太陽が高く南の空からアスファルトを照りつけています
バスの運転手さんに教えてもらった通り車道から脇道に入ってゆきます
しばらく進むと一合目の道標が現れます
一合目からすぐのところに大瀬の滝へと続く小道が現れる
せっかくなので見学にゆくと10Mほどの端整な滝がかかっていました
さらにゆくと登山口の道標があります
車だと三合目駐車場まで10分なんですね~徒歩ですけどなにか?
三合目駐車場まで車で入れる小赤沢コースは苗場山への最短ルートで日帰りもじゅうぶん可能
そんなわけで三合目より下にあるこの登山道では人の気配をまったく感じませんでした
ところどころ人が歩いた形跡はあるものの夏草が生い茂る緑の濃い道です
1時間後ようやく三合目駐車場に到着
登山届を提出してからあらためて出発します
時間帯が遅いので誰も歩いていない、てゆうか暑い・・・
変わり映えしない登山道をひたすら歩いてゆく
傾斜より暑さで体力が奪われるのでバテないようにとにかく水をたくさん飲みました
ちなみに四合目の水場はただの沢水で「飲めません」と書いてあった・・・
五合目を過ぎたあたりから下山してくる登山者とすれ違うようになります
六合目から急登がはじまります
しばらくゆくと展望が開けて目の前に広大な湿原が現れます
まさに天上の楽園、池塘のきれいなところです
遠くから眺める苗場山が台形のようなかたちをしている理由がわかりました
雪渓が残っているところもありましたが危険とゆうほどではありません
苗場山ただひとつの山小屋、苗場山自然体験交流センターに到着
幕営禁止とのことなので自炊で小屋泊とします
圧倒的に自炊の人が少ないらしく自炊部屋もないし水も分けられないと言われました
天気がよかったので外のテーブルを利用しましたが雨だと困りますね・・・
休憩したら山頂へ
小屋から1~2分歩いたところにあります
山頂とゆうよりちょっとした広場とゆうかんじ
それよりもお花畑と池塘が広がる湿原を眺めているほうが山頂を感じさせてくれます
小屋の方いはく翌日に歩く予定の小松原コースは歩く人がとても少ないらしい
迷いやすいポイントについて沢に突き当たったら左に行けば右手に道があると教えてくれました
結局わたしはこのアドバイスをまったく有効活用できなかったのですが・・・
太陽が沈むと夜がゆっくりやってきます
昼間の暑さが嘘のよう
20時就寝
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翌朝は4時起床
寝心地のよい布団で朝までぐっすりでした
本日も晴天なり
少し風が強く池塘の水面が波打っている
一抹の不安を抱えながら小屋をあとにする
雲尾坂をいっきに下って雷清水で喉を潤します
神楽ケ峰を登り返して少しゆくと祓川コースの分岐が現れます
小赤沢コースの次によく歩かれているルートでこちらも駐車場から日帰りが可能です
分岐を見送ってすぐに道迷いポイントにやって来ました
地図には露岩によりルートがわかりにくいとありますが雪渓で埋まっていてさらにわかりにくい
踏み跡もなにもない雪渓の上をしばらく行ったり来たりします
途方に暮れかけた時ようやく登山道が見つかってふたたび歩きはじめます
小屋の方のアドバイスはこの時点でもう頭から消えてしまいました
誰も歩いていませんが道は明瞭です
しかしまた道迷いポイントに出くわしてしまいます
突然行き止まりのようになって道が雪渓で埋まっていました
右も左も濃い笹藪に覆われていて進めそうにありません
右側の笹藪の入口に赤テープの巻かれた棒が転がっていたのでまさかと思い進んでみます
完全なる藪漕ぎとなりとてもじゃないけど普通に歩けません
今度こそ本当に途方に暮れてしまった・・・
しかたなく引き返すことにして緩やかに下ってきた道を登り返します
また苗場山まで登らないといけないのか・・・こんなことならさっきの雪渓で諦めればよかった
別に悪い道とゆうほどではないけど草つきのトラバースとかもう一度歩きたくないなあ
さっきまでの青空がすっかりガスに覆われてしまい気持ちがどんどん沈んでゆく
すると前方から熊鈴の音が聞こえてきて片手に鎌を持ったおっさんが現れた
祓川から登ってきたとゆうおっさんは日帰りで霧ノ塔をピストンするつもりとのこと
事情を話すと藪漕ぎにはならないはずだけどなあと首を傾げる
もしよかったらもう一度行ってみるかい?とおっさん
道が見つからなければ帰りは高崎あたりまで送ってあげるとも
それならと思いもう一度おっさんと一緒に歩きはじめる
ふたたび雪渓の行き止まりポイントに到着
こっちじゃないかい?とおっさんが探すとあっさり見つかった!
左に進んだ右側の斜面にまるで梯子のように垂直に道がついていました
あれ~?てゆうかわたしってば恥ずかしい・・・
おっさんの地図を見ると沢に突き当たったら左に進み右側の道を登ると書いてある・・・
ん?どこかで聞いたような・・・あ、小屋の人が言っていたのってここのこと?
ああ、せっかくのアドバイスをわたしは無下にしてしまったのね・・・
ちなみにわたしの地図にはなにも書いてありませんでした
おっさんの地図よりわたしの地図のほうが新しいのにWHY?
道がわからなくなったら右見て左見てもう一度右見るようにと諭される、とほほ・・・
不思議なことに正しい道が見つかるとガスが晴れて青空が広がりはじめた
霧ノ塔が近づいてきた!(と思って歩いていましたが実際は大日陰山でした・・・)
神楽ケ峰を越えてから苦節2時間・・・ようやく霧ノ塔に到着
おっさんが天気も回復してきたしこのまま歩いたほうがいいよと言った
わたしもそう思っていたのでお礼を言ってお別れします
さあ出発・・・と思ったらなんと小松原湿原に続く登山道から登山者が現れた!
その名はマツイさん、40代男性、たぶん・・・
彼は小赤沢の三合目駐車場に車を停めたあと車道を歩いて上結東バス停まで移動
そこから登山道を歩いて小松原避難小屋で夜を明かしたとのこと
すごいこと考える人がいるなあ・・・何時間くらい車道を歩いたんだろう
とゆうことは三合目駐車場までの登山道に残っていた昨日の足跡はマツイさんのもの?
歩いてきた人に出会えて元気が出ました!
これから先の道についていろいろ教えてもらったので頑張れそうです
さらに下山したタイミングが合えば越後湯沢あたりまで乗せてくれるとのこと
みんな優しいなあ、ほろり・・・電話番号を教えてもらい別れます
おっさんさま、マツイさんほんとにありがとう!!!
さっきまでの不安はどこへやら、楽しくなってきました!
霧ノ塔を下ってふり返るとすっごい急坂・・・
こいつのせいで下山してからしばらく太ももがやばかったです
展望のよい稜線歩きが続きます
まさに鯨の背のように厖大な図体を横たえている苗場山が見えます
小松原避難小屋に到着
そしてついに小松原湿原が姿を現した
今回このルートを選んだのはこの湿原が見たかったから
スケールは小さめですがワタスゲとヒメシャクナゲの群生は苗場山の湿原に勝るとも劣らない
写真を撮りながら歩いていると前方から単独の男性がやって来ました
とてもお話好きな方で花のことについていろいろ教えてくれました
地元の方だそうで東京から来てこのルートを選ぶとはお目が高いと褒めてくれた!
ちなみにこの方と出会う少し前に静止して地図を見ていたらなにかが近づきそして遠ざかっていった・・・
茂みに隠れて見えなかったので音しか聞こえませんでしたが知らぬが仏です
中屋敷の分岐を直角に曲がって樹林帯のなかへ
なぜかわからないけど栂海新道の下りを思い出しました
少し似ていたのかもしれません
3人パーティの方たちと単独の方2名とすれ違いました
みなさん小松原湿原がお目当てのようです
急坂を下りきって見倉駐車場に到着
車道を20分ほど歩いて吊り橋を渡れば上結東バス停まであと少し
そう思いながら歩いていると車が停まってご夫婦に話しかけられました
ご夫婦「どこの山に登ってきたんですか?」
わたし「苗場山です」
ご夫婦「えっ、わたしたちも苗場山を登って温泉に寄ってきたところです」
わたし「あ、そうなんですね~」
ご夫婦「いったいどこをどう下ったらこんなところを歩くことになるんですか?」
小松原湿原から下る道について説明しているとバス停まで送りますよとご夫婦
汗まみれで靴も汚れていたのでお断りしましたが構わないとのことで乗せていただきました
しかし車だと国道に合流したら下り方面に行かないといけなかったらしい
気づいた時には上結東バス停からだいぶ離れてしまっていました
では津南駅まで送りましょうとご主人
その前にどこか温泉に寄って欲しいんですけど・・・
ご夫婦は新潟県にお住まいで毎年のように苗場山を歩いているそうです
いつも寄っている産地直売所があるからそこで聞いてあげるとのこと
すると奥さんが飛び跳ねながら戻ってきて津南駅の2階が温泉なんですって~!と教えてくれた
駅に温泉・・・道の駅ではなく電車の駅に温泉・・・それにしてもかわいらしい奥さんだなあ
そんなわけでちゃっかり津南駅まで送っていただきました
ほんとに駅に温泉があります、なぜこんなすてきな駅なのにバスが停まらないんでしょう
温泉のあとは駅のなかにあるお蕎麦屋さんで天せいろ
駅のホームの目の前には田んぼが広がっていました
なんとものどかなところです
マツイさんに電話をして事情を話すとよかったねと笑ってくれました
十日町を経由して越後湯沢から新幹線で帰路につく
どんなにすばらしい道だろうがどんなにいやらしい道だろうが一度きり
それが縦走なんだと、あたり前のことにふと気づいた
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新潟県と長野県の県境にある苗場山。長野駅行の夜行バスを利用しようと考えたことから交通機関の確保に苦労しましたが、越後湯沢を起点にするとまた選択肢が増えるかもしれません。越後湯沢駅と津南方面も南越後観光バスで繋がっています。それでも苦労して行った甲斐がありました。山頂はまさにお花畑の楽園。そして小松原湿原に下るルートも眺めのよい稜線が続くすばらしい尾根道でした。そしてふり返って見た苗場山の大きいこと、それは確かに鯨の背でした。初夏から夏にかけてはブヨが多いので、虫よけ対策をしっかりしましょう。今回は人に救われた山旅でもありました。ひとりでは歩ききることができなかったと思うので、出会ったすべての人に感謝です。
参考タイム
1日目:小赤沢バス停(1:40)三合目駐車場(3:25)苗場山自然体験交流センター
2日目:苗場山自然体験交流センター(0:05)苗場山(1:05)神楽ケ峰(2:00)霧ノ塔(1:35)小松原避難小屋(3:00)見倉駐車場
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