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いつものように大清水から尾瀬沼をめざす
まだ高速バスが走っていないので電車と路線バスを乗り継いでゆく
天気予報は決して悪くなかったけど大清水に到着すると小雨が降っている
のんびりしている時間もないのでやむを得ず出発
水場を過ぎたあたりから雪道となる
この頃になると雨もやんでうっすら陽が射しはじめる
尾瀬沼に到着
燧ケ岳は濃いガスに隠れてしまって見えません
尾瀬沼をぐるっと巡りながら尾瀬沼ヒュッテにいる油木さんを訪ねる
残雪の燧ケ岳にやって来たのは彼女の誘いがあったから
山に暮す友人を訪ねるというのは愉しいことです
テント場のデッキも雪に埋もれているのでどこでも張りたい放題
尾瀬はまだ寒くてシュラフに入ると出たくなくなります
夕ごはんのあと小屋の温かい部屋に招かれる
ストーブにあたりながらビールと枝豆などをごちそうになる
さらにお風呂にまで入らせてもらってテントに戻りたくなくなる
ほくほくしながら22時就寝
夜中に魔法が解けたのか寒くて目が覚める
フリースを着込んでふたたび就寝
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5時起床
あたりは濃いガスに覆われている
いっきにやる気がなくなり二度寝のスパイラルへ突入
テントにやって来た油木さんと相談して本日の山行は中止とします
翌日も休みなので晴れ予報に懸けてみようじゃないか
お昼頃には青空が・・・
こうなってくると登っておけばよかったかなと思ったり
進退の判断はいつも難しい・・・
尾瀬沼を散策
ところどころ水芭蕉が姿を現していました
尾瀬と言えば水芭蕉とゆうイメージですがわたしはこいつらが好きじゃない
まだ小さいからよいけど大きくなるとなんかグロテスクなんだもん
ワタスゲのほうがかわいくて好きです
すっかり晴れてしまいました
夕ごはんのあと油木さんがテントに遊びに来て長らく話し込む
山を知れば知るほど登り続けることが怖くなるね、とか
ヒュッテまで油木さんを送りながら見あげた空に満天の星が輝く
期待と不安を胸に21時就寝
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4時起床
空気はしんと澄みきっている
尾瀬沼ヒュッテをあとにする
油木さんは仕事を休めないとのことでひとり出発
樹林帯にはしつこいくらいに赤テープがあり迷うことはない
ミノブチ岳まではアイゼンをつけずにゆく
晴れていれば不安な気持ちもどこへやら
青空と白い雪のコントラストに笑顔がこぼれます
ふり返ると白い尾瀬沼がきれい
はるかかなたに富士山が見えた
写真の中央から少し右あたりに白く浮かぶのが富士山です
かなり小さいですがわたしのコンデジではこれが精いっぱいでした
数年前にはじめて燧ケ岳を登った時にも富士山が見えました
なんだか懐かしくなってお久しぶりですと言いたいような気分
ちなみに深田久弥さんも燧ケ岳に登頂した際に富士山を見たそうです
俎嵓に到着
山頂あたりでは雪が舞ったようでところどころ新雪が積っていました
5月下旬と言えども山は侮れません
休憩もそこそこに柴安嵓へ
最後だけ突然ナイフリッジのようになります
これを越えるとなだらかな雪稜となり柴安嵓に到着
山頂からは至仏山やら会津駒ケ岳やらの眺めが広がる
山麓からせりあがってくるような緑に力強さを感じます
あと少しすれば尾瀬の雪もまわりの山の雪も消えてしまうでしょう
沢沿いに描かれた思い思いのシュプールが名残惜しげです
それらにうしろ髪を引かれるような思いで下山とします
ナイフリッジの踏み跡を慎重に下ろうとしたけど雪が締まっておらず苦労する
ここで滑落したら右側の谷にまっさかさま
一方リッジを避けて左側に下りればたとえ滑落しても鞍部で体が止まるはず
そんな思考回路により左側を下りるのですがなぜかシリセード欲に駆られてしまう
どきどきしながら斜面にお尻を置いて足をあげた瞬間ぎゃーーーーーーー!!!
ちょースピードが出てびっくりなんですけどぉーーーーーーー!!!
思わず訓練さながらに滑落停止してしまいました
体が止まってほっとする
よくシリセード大好きみたいな人がいますがまったく理解できません
そしてわたしはやはり安全登山に努めようと心に固く誓いました
あたりまえですが念のため・・・
そんなこんなで柴安嵓から無事下山
俎嵓はトラバースして巻きたかったけれど様子がわからないので素直に登り返す
さよなら燧ケ岳
樹林帯に入ってしまえばそこは雪道
転がるように下ってあっという間に尾瀬沼に着いてしまいました
ヒュッテに戻ると布団干しの真っ最中
テントもすっかり乾いていました
油木さんにさよならして大清水に下山します
尾瀬沼越しに見る燧ケ岳
尾瀬沼から燧岳をなくしたら、山中の平凡な一小湖に化してしまうだろう
深田久弥さんの『日本百名山』にある一文です
多くの人がそうのようにわたしはここから眺める燧ケ岳がいちばん好きです
はじめから終わりまで誰とも会わなかった
残雪の燧ケ岳をひとりじめ
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歩行時間もそんなに長くなく、ミノブチ岳までは緩やかな登りが続きます。俎嵓まではストックでじゅうぶんですが、柴安嵓まで足を伸ばすのならピッケルと前爪のあるアイゼンが必要かと思います。山頂からは至仏山や会津駒ケ岳、日光連山、運がよければ富士山など360度の展望が楽しめます。
参考タイム
1日目:大清水(0:55)一ノ瀬(1:10)三平峠(0:40)尾瀬沼ヒュッテ
2日目:天候不良により停滞
3日目:尾瀬沼ヒュッテ(2:20)ミノブチ岳(0:25)俎嵓(0:25)柴安嵓(0:30)ミノブチ岳(1:25)尾瀬沼ヒュッテ(2:05)大清水
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